研究課題
本研究では、企画調査(平成16年度)で発掘した倫理的問題の事例を現地調査することで、日本の状況を把握するとともに、技術者倫理教育・研究先進国での農業農学への取り組みや認識状況を海外調査で把握すること、さらに、それらの成果を資料に用いて、農家、農協・農試・生物関連企業技術者、消費者、工業技術者、農学部学生などの参画を得て考察・討議を重ね、日本固有の社会背景・農業態様・自然環境を反映した「農学における技術者倫理」を把握することを目的とした。得られた結果は、以下の通りである。1.本科研の参加者を中心とする上記の研究会を組織し、調査・研究の企画、国内・海外調査の計画づくりと実施後の成果の取り纏め、報告書の作成、教科書の草稿づくりなどを行った。2.平成16年度の科研「企画調査」において得られた成果を踏まえて、倫理的な問題が発生した背景、種々の対立要因と葛藤の内容などを具体例に基づいて議論し、国内事例調査でカバーすべき問題領域を明らかにした。3 海外事例調査(欧米大学の技術者倫理担当教員を対象として)産業(企業)分野で技術者倫理問題の研究に早くから取り組み、かつ明確に性格を異にする農業がしっかり展開・維持されている数カ国を対象に、「農学における技術者倫理」がどう捉えられているかを把握・整理した。あわせて、技術者倫理研究先進国での現時点における「農学における技術者倫理認識の対象領域」を把握した。なお、科研報告書の研究発表は、最終的に出版物(教科書)として刊行することが要請されているため、本年度の研究発表はなく、次年度に向けて、農学の各分野について教科書に必要な"倫理事例"をとりまとめているところである。