今年度の研究目標各項目から以下の結果を得ることができた。 (1)前年度の実験から明らかになった、水田土壌(粘性土)中のイオンの移動について、硝酸態窒素イオンだけでなく、カドミウムイオンについての界面動電現象による移動を行い、シミュレーションモデルが移動量を過大評価(最大で2.5倍程度)することが明らかになった。実験条件とモデルの仮定している条件との差異と移動量についての考察・追加の実験を本研究の終了後も実施している。 (2)前年度の結果からファイトレメディエーションと界面動電法の組合せ利用の可能性が示唆されたので、その検討のために既知のカドミウム吸収植物としてリストされているアブラナ科植物を水耕栽培して吸収量・耐性の概略値を得た。ほぼ10ppm程度までは植物の成長に与える影響は少なく、それ以上で生育障害が顕著となった。 (3)土壌中に電極設置し、電位差を与えることが植物生育に与える影響を見るために、水耕栽培期間中に白金電極を利用して1v/cmの電位差を連続的に与えたが、有意な成長の差は見られなかった。 (4)前年から引き続き実施した土壌カラム試験結果とファイトレメディエーションの併用によるカドミウム除去の可能性についてまとめたものを投稿予定。
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