研究課題/領域番号 |
17580218
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
研究代表者 |
吉田 修一郎 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 中央農業総合研究センター・北陸水田利用部, 主任研究官 (90355595)
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研究分担者 |
足立 一日出 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 中央農業総合研究センター・北陸水田利用部, 室長 (80355594)
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キーワード | 土壌の乾燥収縮 / 土壌の乾燥亀裂 / 亀裂先端開口角 / J積分 |
研究概要 |
第一に、海外研究協力者とともに、スコットランド作物研究所において取得した粘質土に関する3点曲げ試験のデータを詳細に解析し、亀裂先端開口幅(CTOA)およびJ積分値の水分状態依存性を検討した。亀裂安定成長期のCTOAは、その定義によらず、段階的なサクション圧密により徐々に低下する傾向が見られた。また、サクション圧密した試料を再吸水させることで、さらにCTOAは低下することが確認された。一方、亀裂安定成長期の単位亀裂成長量に対するJ積分の変化率dJ/daは、サクションが10kPaから20kPaに増加すると増加し、再吸水により大きく減少することが観測されたが、CTOAに比べ増減の傾向が不明瞭であった。CTOAとdJ/daの間には、降伏応力をパラメータとした関係が金属では認められるが、軟弱な土壌試料では、これらを関連づけて議論するのは困難であることが示唆された。 第二に、水稲耕作田において、夏期の落水後に作土下部および耕盤を採取間隔をあけて多数採取し、その排水・吸水過程の保水特性を測定した。また、テンシオメータによる亀裂周辺部におけるサクション分布の連続観測、発生した亀裂の深度の観測などを行い、シミュレーションモデルの実行や検証に必要なデータの蓄積を図った。これらの野外試験によって得られた成果のうち、特筆すべき点は、保水特性の急激な変化についてである。落水直後とその10日後の同一箇所での保水特性を比較すると、乾燥によるサクション圧密の効果(採取時サクションより湿潤側の水分の消失)だけではなく、より低水分側の微細な間隙の水分の消失が同時に起こっていたことを明確に示す結果が得られた。すなわち、還元状態の強い土壌の乾燥収縮では、乾燥収縮の際、収縮特性(圧密特性)そのものの変化が短期間に進行することが明らかになった。亀裂進展予測モデルの重要なパラメータである、「圧縮指数」を評価する上で、この知見は重要な意味を持っている。
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