研究概要 |
本研究は,沖縄地方の赤土流出軽減対策として遊休農地を緩衝帯として活用することを検討するため,植生が持つ微細土砂捕捉機能を評価する手法を構築することを目的としている.本年度は,非水没条件における植生の微細土砂捕捉特性を把握した.また,植生条件下における微細土砂の輸送・堆積現象の再現モデルの改良を行った. 非水没条件における植生の微細土砂捕捉特性は,水理模型実験に基づき把握した.実験水路内にセンチピードグラスから成る植生を設置して,国頭マージを用いて作成した濁水を水路に給水し,濁水の流量や土砂濃度,植生の長さの条件を変化させて,各条件における水路縦断方向の水深や植生通過後の濁水の土砂濃度,濁水に含まれる土砂の粒径組成等を測定した.実験結果から,非水没条件における植生の水理学的抵抗や微細土砂流出軽減率と各影響因子との関係などの特性を明らかにした. 植生条件下における微細土砂の輸送・堆積現象の再現モデルの改良については,現地で発生する多様な条件への対応を目的として行った.昨年度構築したモデルをべ一スとして,常流と斜流が混在する流れに対応するため流れの計算にMacCormack法を導入した.粒径分布をもつ流出土砂に対応するため,土砂を一様砂から混合砂として取り扱うよう改良した.昨年度実施した模擬植生を通過する細粒土砂の輸送・堆積実験における,土砂濃度,水面形および土砂の堆積状況の実測値とモデルによる計算値を比較したところ,計算値は実測値をおおむね再現した.これにより,模擬植生の土砂捕捉現象の再現に対する本モデルの有効性が示唆された.今後は,実際の植生の微細土砂捕捉現象への適用性を検討する.
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