本年度はフィールドでのトマト果実の近赤外分光法による(1)測定方法の確立、(2)内成分量の測定可能なキャリブレーションモデルの作成と内成分量のモニタリングおよび(3)完熟時の糖度予測さらに、(4)トマト葉の水ポテンシャルの測定について行った。以下にその具体的な内容について述べる。 (1)測定方法の確立 トマト果実の構造的な特性を考慮し、果実全体の平均的な乾物率やデンプン含量などの成分を知るための測定位置と点数を明らかにするとともにフィールドでの測定を可能にするために、近赤外スペクトルへの外光の影響を明らかにし、測定条件および測定システムを確定した。 (2)キャリブレーションモデルの作成とモニタリング 幅広い生育過程における緑熟トマト果実の乾物量、デンプン含量、糖含量を測定できる温度補償型のキャリブレーションモデルを作成した。作成したキャリブレーションモデルを用いて、生育過程における果実の内成分量(乾物量、デンプン含量、糖含量)のモニタリングを行うことを可能にした。 (3)緑熟果の内成分量から宗熟時の糖度予測 任意の生育ステージにおける果実のデンプン量あるいは乾物量から完熟時における果実の糖度(Brix%)を予測するためのモデル式を作成した。 (4)水ポテンシャルの測定 水ストレスの評価指標としてトマト葉の水ポテンシャルを近赤外分光法により測定するためのキャリブレーションモデルを作成した。
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