本申請研究は、3次元空間および物体認識機能を持ったイチゴ収穫ロボットの開発を目的に行うものである。 平成18年度は、前年度に購入した小型軽量の6軸マニピュレータに搭載する3次元空間認識システム(イメージベースド3Dモデリングシステム:Image Based 3D Modeling Systemと呼び、以下IB3DMシステムと略す)を応用した物体認識システムの開発を行った。このIB3DMシステムは照度差ステレオ法(Photometric Stereo法、以下PS法と略す)を用い、高感度CCDカメラ1台、カメラの焦点を中心に半径100mmに等間隔で設置された無指向性の点光源(3〜4個)、およびシステム全体を統括するコンピュータから構成される。CCDカメラは微弱光用冷却CCDカメラ(輝度分解能16bit、昨年度購入済み)を用い、カメラ先端のレンズマウントにRGBフィルタを組み込んでカラー画像の取得を可能にした。試作したIB3DMシステムは小型軽量で、微弱光下でも高精度に色および3次元形状情報を同時に取得する事が可能であり、マニピュレータマウントタイプの外界認識センシングシステムとしてイチゴ収穫ロボットに搭載する予定である。具体的には、IB3DMシステムを用いてイチゴ果実・茎葉・ビニルマルチなどを色情報と3次元形状情報から識別し、それぞれを認識する物体認識システムを試作し、その基本点機能を確認した。さらに、イチゴ果実の果柄を見極めて切断し、果実を損傷なく収穫するために果柄切断位置の空間的位置の把握、および茎葉等の障害物を回避して果実を格納する3次元収納ルートプランニング機能等の開発を平行して行っている。高設栽培と異なり慣行の露地栽培イチゴの場合、イチゴ果実周辺は茎葉等が複雑な位置関係で存在するため、実際のイチゴ生産農家圃場での確認実験を行う。
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