本申請研究は、3次元空間および物体認識機能を持ったイチゴ収穫ロボットの開発を目的に行うものである。平成20年度はイメージベースト3Dモデリングシステム(Image Based 3D Modeling System、以下IB3DMシステムと略す)を応用した物体認識システムの開発を行った。まず、IB3DMシステムに用いる照度差ステレオ法(Photometric Stereo法、以下PS法と略す)を用い、高感度CCDカメラ1台、カメラの焦点を中心に半径100mmに等間隔で設置された無指向性の点光源(3または4個)、およびシステム全体を統括するコンピュータとソフトウェアから構成される。CCDカメラは微弱光用冷却CCDカメラ(輝度分解能16bit)を用い、カメラ先端のレンズマウントにRGBフィルタを組み込んでカラー画像の取得を可能にした。試作したIB3DMシステムは小型軽量であり、LED等の微弱光下でも高精度な画像情報を取得する事が可能であった。この取得した画像を用いて対象物体の3次元形状を形成した。さらに、イチゴ果実の果柄を見極めて切断し、果実を損傷なく収穫するエンドエフェクタを試作し、IB3DMとの統合を図った。マニピュレータマウントタイプの外界認識センシングシステムとしてイチゴ収穫ロボットに搭載し、イチゴ生産現場(契約農家)でのイチゴ認識実験を行う予定であったが、契約農家イチゴ圃場に病気、害虫頻繁に発生し、作柄が悪化したため試作機械の導入が許可されず、実施できなかった。よって、イチゴ果実・茎葉の模型を用いて、基本的機能の確認を行い、イチゴ果実の3次元形状及び果柄形状及び位置の把握を可能にした。
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