本研究はミラー型枝肉横断面撮影装置で得られた高精細デジタル画像を利用し、牛脂肪交雑の形状的特徴量を詳細に解析する手法を開発し、また、モノ不飽和脂肪酸割合の推定を試みた。 1.新たな脂肪交雑のあらさの指標として個々の脂肪交雑を面積の大きい順番に並べ替え、最も大きい脂肪交雑粒子から5個までを加算し、脂肪交雑総面積で除した指数(上位1〜5のあらさ)が有効であった。上位1〜5のあらさは黒毛和種×ホルスタイン種(19.88)およびホルスタイン種(20.14)において和牛などに比べ有意に高い値となった(P<0.05)。 2.高精細枝肉撮影装置で撮影した黒毛和種枝肉横断面画像の解析から筋肉内脂肪の融点を推定した。融点測定値の平均は28.22±3.24℃(19.40〜34.95)であった。204頭を1データセットとして融点を推定した結果、重回帰式のR^2値は0.13と低かったが、調査日ごとに推定した結果、R^2値は0.60〜0.86と高く、画像解析により融点を推定できる可能性が示唆された。 3.高精細枝肉横断面画像を利用したMUFA割合推定法は、様々な品種を用いても、比較的高い精度でMUFA割合を推定可能であったが、調査日の影響が強く、一つの推定式ですべてを説明することはできなかった。調査日の影響を排除するための枝肉温度情報(レーザによる非接触温度計)の利用は有効であり、決定係数を約20%向上させる効果があることが確認できた。
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