研究概要 |
メタン抑制については,生菌剤Saccharomyces cerevisiae 2菌株(YST)の添加効果を培養実験により検討した。60mlのルーメン液含有培地にYSTを10,20,または40mg添加し,基質としては乾草+濃厚飼料(1.5:1)を用い,38℃で嫌気的に6時間培養した。培養の結果,YST添加でルーメンのpHは変化しなかったが,揮発性脂肪酸の生成量は増加し,VFAの中で酢酸の比率は低下し,プロピオン酸の比率は増加した。プロトゾア数は変化しなかったが,メタン生成はYST添加により約10%低下した。 また,子牛7頭(プロトゾア存在4頭,不在3頭)を用い,ルーメンプロトゾアが細菌の構成に及ぼす影響をクローンライブラリー法により検討した。プロトゾア不在牛ではPrevotella ruminicolaなどのデンプン分解菌は増加し,繊維分解菌の中で,Ruminococus albusとR.Flavefaciensは増加したが,Fibrobacter succinogenesは減少した。メタン菌種の数はプロトゾア存在牛よりも不在牛の方が多かった。また,プロトゾア不在牛のみに検出されるクローンがあり,これをUnfaunated Group 1(UG1)とした。これらより,ルーメン内の水素利用において,プロトゾアの存在は大きな影響を及ぼすことが明らかとなった。
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