1.食品副産物を多用したTMRサイレージの微生物群集の解析 飼料自給率の向上や環境保全型農業の推進から、食品副産物を多用したTMRサイレージの製造が広く行われるようになった。ビール粕やトウフ粕を主原料とするものが多いが、TMRサイレージの特徴として開封後きわめて変敗しにくい、すなわち好気的安定性が高いことが挙げられる。通常の牧草サイレージは、開封時の酵母数が10^5cu/g以上であったり残存する可溶性糖類が多いと容易に変敗するが、TMRサイレージにはこれらの知見が当てはまらない。本研究では、発酵飼料の好気的変敗を防止することを目標として、TMRサイレージの変敗を抑制する微生物因子の解明を試みた。 ビール粕あるいはトウフ粕を材料とし、これらを単独あるいは50%含むTMR(設定乾物率55%、 TDN74%DM)としてサイレージを調製した。貯蔵期間は14および56日間とし、発酵生成物、生菌数、好気的安定性を調べるとともに、16S rDNAのV3領域を対象としたPCR-DGGEを行った。また、それぞれの材料(貯蔵前)についても同様の調査を行った。 ビール粕およびトウフ粕のいずれも、単独で貯蔵した場合は開封後容易に変敗した。TMRサイレージは主原料とした粕の種類に関わらず好気的安定性が高かったが、発酵貯蔵しなければTMRでも容易に変敗した。 変敗しやすい単独サイレージと変敗しにくいTMRナイレージの微生物群集をPCR-DGGEで比較したところ、前者にはなく後者に共通する微生物としてWeisella sp.とLactobacillus brevisが確認された。一方、昨年度の研究で明らかとなったLactobacillus buchneriはビール粕主体のTMRサイレージにしか検出されなかった。今後、Weisella sp.とL.. brevisの分離を行って、牧草サイレージへの添加実験を行う予定である。
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