本年度は導入RNAiの設計と導入効率について検定するとともに、RNAi導入の予備的試験としてホルモン分泌阻害物質を使用して行動観察および体脂肪測定を以下のとおり実施した。 (1)導入RNAiの設計と導入効率:アンチセンス効果検証に、哺乳動物細胞でcLEPRを発現させるベクターを作成し、CHO細胞を用いてcLEPR安定発現細胞株を作出し、抗cLEPR抗体を用いたウエスタンブロットによりタンパク質の発現を確認することができた。現在、この細胞に設計したRNAiを導入し、そのcLEPR発現抑制効果についてウエスタンブロットによる確認を遂行中である。 (2)RNAi導入後期待されるホルモン分泌の抑制についての準備実験として、オピオイドペプチドの1つであるβ-エンドルフィンの分泌阻害物質グリシルグルタミンの中枢投与の効果を検証した。その投与後、過活動などの異常行動は認められないもののニューロペプチドYによる摂食亢進効果は抑制されることが見出された。このことから、β-エンドルフィンはニューロペプチドYによって分泌が促されるとともにその摂食亢進効果の一部を担っていることが明らかとなった。しかし、グリシルグルタミンの効果は短期的なものであること、体脂肪測定装置を用いたニワトリヒナの体脂肪変化においては大きな違いが示されなかった。RNAi導入時には長期的に行動および体脂肪含量に変化が認められることが期待される。現在、RNAi導入時の緩衝剤(有機溶媒)投与の影響を調査中である。
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