siRNAiによるin vitroでの受容体ノックアウトを試み、in vivoでの適用により摂食行動および成長への影響を検討した。 (1)細胞内へのsiRNAの導入の効果(in vitro):COS-7細胞をもちいてsiRNAの導入を行なったところchLEPR mRNA及びタンパクの一過性の発現抑制が観察された。ニワトリレプチン受容体安定発現細胞株(CHO-chLEPR)において、レプチン添加(125ng/ml)3時間後のルシフェラーゼ活性はsiRNA処理区が対照区に比べ有意に低かった。レプチン処理24時間後のルシフェラーゼ活性はsiRNA処理区と対照区で有意な差は認められなかった。以上の結果より、作成したchLEPRに対するRNAiは培養細胞においてそのmRNA及びタンパク発現を効果的に抑制することが明らかとなった。さらにその結果、レプチン受容体を介した情報伝達を一過性に抑制することが明らかとなった。 (2)siRNA中枢投与の効果(in vivo):(1)で効果の認められたsiRNAを白色レグホン(♂:4-5日齢)に中枢投与し、その後の摂食量および増体量を測定した。投与15および24時間後の間脳chLEPR mRNAではsiRNA投与区と対照(scrRNAおよび導入試薬のみ)区に大きな違いは示されなかった。摂食量に関してもその変動に違いはあるものの有意差は認められなかった。また、増体量においても著しい差は示されなかった。 (3)アンチセンスオリゴヌクレオチド中枢投与の効果(in vivo):RNA干渉の有効性を検討する目的でchLEPRに対するアンチセンスオリゴヌクレオチドを白色レグホン(♂:4-5日齢)に中枢投与し、その後の摂食量および増体量を測定した。siRNA投与の場合と同様に著しい変化は認められなかった。しかしながら、NPY-Y1受容体に対するアンチセンスオリゴヌクレオチド投与では、投与後15時間においてそのmRNAが減少することが認められ、アンチセンスオリゴヌクレオチドによるノックダウンが有効であることが示された。
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