本年度の成果としては、まずJ Reprod Devへ原著論文"Cytogenetic analysis and developmental assessment of mouse embryos derived from in vitro fertilization of oocytes reconstructed by meiosis-II chromosome transplantation"を発表した。また現在、第2報として"Improvement of embryonic development and production of offspring by transferring meiosis-II chromosomes of senescent mouse oocytes into cytoplasts of young mouse oocytes"を国際誌へ投稿準備中である。これは、高齢マウスに転座染色体を有するRFM個体を用いて、高齢マウスと若齢マウスの卵子の間で減数第2分裂中期の染色体を相互置換、すなわち高齢のマウスの核を若齢マウスの卵子へ移植した後、体外受精に供し得られた胚を体外培養したところ、有意な胚発生の改善がみられ、得られた胚盤胞を受胚雌マウスへ移植して、妊娠満期までの発生率の改善が見られ、子が得られたという内容の論文である。本年度は、さらに高齢マウスと若齢マウスの卵子間で卵核胞の相互置換による再構築卵を作製して、これを体外受精させその発生における改善を見るという実験を行った。しかし、その核置換後の融合率が極めて低く(3.1%)、種々の改善を試みている。融合が確認された卵子については第1極体の放出および紡錘体形成により核成熟の完了を確認している。 なお、第2報の論文の受理が明確になるまでは、データを公表できないことから、詳細な成果の公表を見合わせたい。
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