ADAM12は筋肉・脂肪の両組織形成に関わる膜タンパク質で、ヒトADAM12を筋細胞で発現させたトランスジェニックマウスは筋肉内脂肪組織形成を示すことが報告されている。この表現型が牛肉の「霜降り(脂肪交雑)」に類似した形質であることから、本研究では脂肪交雑モデルマウスの樹立を目的に、ウシADAM12遺伝子を導入したトランスジェニックマウスの作出を行った。 既にクローニングしているウシADAM12cDNAを利用し、細胞外ドメイン全長(TRC)またはメタロプロテアーゼドメイン(MP)のみを筋細胞特異的に発現させるため発現ベクターpMCK-bADAM12TRCとpMCK-bADAM12MPを作製した。このベクターの作製では、筋細胞特異的プロモーターとして、マウスゲノムからPCRにより増幅した約1.5kbのmuscle creatine kinase(MCK)プロモーターを使用した。 これらの遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを筑波大学生命科学動物資源センターへ委託することにより作製した。得られた産子についてジェノタイピングを行った結果、TRCでは2匹、MPでは3匹のトランスジェニック個体が得られた。これらのトランスジェニックマウスと野生型マウスとを交配して得られた産子においてもトランスジェニック個体が得られ、導入遺伝子が後代に遺伝することが確認された。この結果、TRCでは2系統、MPでは3系統のトランスジェニックマウス系統が樹立された。
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