研究概要 |
1.オーエスキー病抵抗性豚の開発に用いる安全かつ効果的な抵抗性遺伝子の構築のため、ウイルスレセプターのブタネクチン-1及びブタIgGのFc領域をコードするcDNAを用いた。ネクチン-1の細胞外ドメイン全て(VCC)、並びにウイルスのgD糖蛋白と結合することが知られているV領域だけとIgGのFc領域とのキメラ蛋白である2種類の可溶型ネクチン分子(VCCFcおよびVFc)を発現する抵抗性遺伝子を構築した。 2.1で構築した2種類の抵抗性遺伝子をブタ腎細胞あるいはVero細胞に導入し、VCCFcおよびVFcを発現する細胞株を樹立した。次に、これら細胞株にオーエスキー病ウイルスを感染させ、感染抵抗性について検討したところ、これらの細胞株は,ウイルス感染に抵抗することが明らかとなった。また、樹立した細胞株の形態変化等は認められなかった。 3.1で構築した2種類の抵抗性遺伝子をC57BL/6マウス受精卵前核に注入し、可溶型ネクチン分子発現トランスジェニックマウスを作製した。VCCFc発現マウスを4系統、VFc発現マウスを3系統作製した。 4.これまでに作製したブタネクチン-1の細胞外ドメインとヒトIgGのFc領域とのキメラ蛋白である可溶型ネクチン分子(VCCIg)を発現するトランスジェニックマウスと市販のオーエスキー病ワクチン接種マウスの感染抵抗性について比較検討し、トランスジェニックマウスの抵抗性は、ワクチン接種マウスに比べて著しく強いことを明らかにした。
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