1.ブタネクチン1のアルファヘルペスウイルスのgD結合ドメインであるVドメインのオーエスキー病ウイルス(ADV)に対する感染阻害作用を調べるため、ブタネクチン1のVドメインとブタIgGのFcとのキメラ蛋白(VpIg)を発現する遺伝子を構築し、これをマウス受精卵に導入することによって3系統のVpIg発現トランスジェニック(Tg)マウスを作製した。すべてのTgマウスが20LD_<50>のADV感染に対して抵抗性を示した。鼻腔内接種においては、約25%のTgマウスがADV感染に対して抵抗性を示した。以上の結果から、VpIg発現TgマウスはADVの腹腔内接種に対しては抵抗性を示したが、鼻腔内接種に対しては、全ての細胞外ドメイン(VCC)とヒトIgGのFcとのキメラ蛋白であるVCChIgを発現するTgマウスに比べ、その抵抗性は弱いことが示された。 2.ブタネクチン1の細胞外ドメインとブタIgGのFcとのキメラ蛋白(VCCpIg)を発現するTgマウスを作製し、VpIg発現Tgマウス系統とともにADV感染に対する抗ウイルス作用について比較した。20LD_<50>接種に対しては、両系統ともに著しい感染抵抗性を示した。VCCpIg発現Tgマウスは、100LD_<50>および1000LD_<50>接種において、VpIg発現Tgマウスに比べ、強い感染抵抗性を示した。また、10LD_<50>の鼻腔内接種においても、VCCpIg発現TgマウスはVpIg発現マウスに比べ強いADVに対する感染抵抗性を示した。以上の結果から、両系統問における可溶型ネクチン1の発現量に大差がないことから、VCCpIgの抗ウイルス活性は、VpIgに比べ強力であることが示唆された。
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