研究概要 |
Enteritidis以外の血清型のサルモネラの汚染が確認されているコマーシャル産卵鶏について、抗サルモネラ卵黄抗体の検出をELISA法により試みた。抗原は、Enteritidis(SE)に加え、当該鶏舎で分離される頻度の高いMontevideo(SM)、Cerro(SC)、Putten(SP)及びAgona(SA)の菌体から熱抽出法により調製した。 はじめに、サルモネラに汚染されていない鶏群で、SE不活化ワクチン接種歴の有無と抗体価との関係を検討した。ワクチン接種鶏より採取した卵(40個)のうち95%以上で、SE,SM及びSA抗原に対する抗体価がそれぞれの閾値(SPF卵における抗体価(OD405)の平均値+2×標準偏差)より高い値を示した(卵黄抗体陽性)。とくに、抗SE抗体価は、すべての卵において他の抗原に対する抗体価よりも高い値を示した。ワクチン非接種鶏から採取した30個の卵のうち29個が陰性で、残る1個においてSC抗原に対し陽性を示したものの、SE,SM,SP及びSA抗原については陰性であった。このように、抗サルモネラ卵黄抗体の検出が可能と考えられたため、上述のコマーシャル産卵鶏より採取した卵における卵黄抗体価の測定を試みた。 卵の採取を行った2鶏群では、断餌による換羽の誘導が行われ、断餌に伴う産卵の停止以降に、鶏舎内環境からのサルモネラの分離頻度が増した。換羽の誘導前にSM抗原に対して陽性を示した卵は22及び50%であったが、産卵再開時にはともに80%に増加した。SM以外の抗原に対して陽性を示した卵は、換羽も誘導前に0及び11%であったが、産卵再開時には30及び20%であった。したがって、断餌による換羽の誘導に伴い感染した鶏が増加した可能性が示唆された。期間を通じて当該鶏群から採取した卵内に、サルモネラDNAはPCR法により検出されなかった。
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