研究概要 |
アトラクチン欠損ラットmvラットのオリゴデンドロサイトおよびその前駆細胞の動態を把握するために、Proteolipid protein (PLP)およびPlatelet derived growth factor alpha receptor (PDGF-aR)に対するプローブを用いたin situ hybridisation法を行い、それぞれの陽性細胞数をカウントした。mvおよび対照ラット間において,オリゴデンドロサイトおよびその前駆細胞数に明らかな差異は認められず、mvラットのミエリン病変は、ミエリン形成細胞の直接的障害ではない可能性が示唆された。また、ホモ型(27週齢)、ヘテロ型(34週齢)、および野生型(15週齢)ラットの脳から常法に従ってRNAを抽出し、mvラットと対照ラットのTNF-a、IL-b、iNOSのmRNA発現量をRT-PCR法にて検討したところ、これらのmRNA発現量に明らかな差異は認められなかった。今後、他のミエリン異常ミュータントであるdmyラットについても同様の検討を行うとともに、ミエリン形成初期におけるミエリン形成細胞動態、サイトカイン発現を経時的に解析する予定である。 また、末梢神経再生における鼻粘膜由来の神経幹細胞の有用性を検討する目的で、ラットの坐骨神経切断モデルを作製し、ラットの鼻粘膜より分離した神経幹細胞を投与し、末梢神経の再生に対する治療効果を病理学的に解析した。投与された病変部では細胞密度が高く、移植細胞の生着が示唆された。現在、経時的に末梢神経再生を評価している。さらに、dmyラットの脊髄に鼻粘膜由来の神経幹細胞を投与し、2週齢後に採材した。エポン包埋およびパラフィン包埋サンプルを採材し、ミエリン再生を形態的に評価している。
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