研究概要 |
mv(myelin vacuolation)ラットは中枢神経系のミエリン形成異常を特徴とするミュータントで,その病態は膜蛋白アトラクチン(Atrn)の欠損による.mvラットの脊髄では,病変の進行に伴ってアストロサイトとミクログリアの活性化が認められる.今回mvラットの脊髄におけるミクログリア関連因子の発現動態を調べた. 4,6週齢のmvホモ型および野生型ラットの脊髄からRNAを抽出し,半定量およびリアルタイムRT-PCR法により,TNF-α,IL-1β,IL-6,TGF-β1,iNOSのmRNA発現を調べた.10週齢のmvホモ型および野生型ラットの脊髄を採材し,Western blot法によりiNOS蛋白の発現を調べた. 各週齢のmvおよび野生型ラット間において,TNF-α,IL-1β,IL-6のmRNA発現量に明らかな変化はみられなかった.4,6週齢のmvラットにおいて,TGF-β1 mRNA発現量の増加傾向が認められ,アストロサイト・ミクログリアの活性化と関連する変化と考えられた.6,10週齢のmvラットにおいて,iNOSのmRNAおよび蛋白の発現量が上昇した.iNOS発現の上昇は,活性化ミクログリアの出現時期と一致することから,ミクログリアの活性化と関連する変化と考えられた. また、末梢神経再生における鼻粘膜由来の神経幹細胞の有用性を検討する目的で、ラットの坐骨神経切断モデルを作製し、ラットの鼻粘膜より分離した神経幹細胞を投与し、末梢神経の再生に対する治療効果を病理学的に解析した。ラットの坐骨神経を外科的に切断し、末梢神経障害モデルを作製し、障害部位の遠位側に鼻粘膜神経幹細胞を移植し、病理組織学的に末梢神経再生を評価した。神経幹細胞移植群では、対照群に比べてより高頻度に神経再生が認められた。
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