研究課題
Babesia rodhainiは野生げっ歯類由来の赤血球寄生原虫で、ヒトバベシア症の原因であるB.microtiと近縁ではあるが完全な別種の原虫である。本研究では、B.rodhainiがB.microtiと同様にヒト赤血球への感染性を有するか否かをヒト赤血球置き換えSCIDマウスモデルを用いて検証した。実験開始当初、B.rodhainiは本マウスモデルでほとんど増殖しなかったが、約3週間の馴化期間を経て徐々にヒト赤血球内で増殖できるようになった。得られた原虫をヒト赤血球置き換えSCIDマウスで希釈継代することにより安定的な変異株を樹立することができた。原虫の宿主特異性変化に関与する可能性のある蛋白質分子の検索を目的として、B.rodhainiのcDNA発現ライブラリーを構築した。感染マウス血清を用いたイムノスクリーニングにより、3つのメロゾイト表面蛋白質(MSP)遺伝子が得られたが、それらの塩基配列はいずれも親株およびヒト赤血球馴化株の両者で一致していた。以上の結果から、B.rodhainiはヒト赤血球に感染する潜在能力を有することが判明したが、この能力はMSPのアミノ酸配列の変化によって発揮されるのではないかも知れない。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
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