研究課題
基盤研究(C)
乳牛における乳房炎の発症機構の解析と効果的な制御を目的として、感染防御に重要な役割を担う白血球の機能を解析するとともに、展開として免疫機能への刺激増強に関与する候補物質を用いて機能修飾を検討し以下の成績を得た。乳腺感染の免疫学的応答について、正常牛および黄色ブドウ球菌(SA)感染牛を用いて、血液および乳腺中の白血について表面抗原の解析および刺激に対する応答性を評価した。主な特徴としては、SA感染により白血球に発現する表面抗原分子(CD18,L-selectin、CD4&8)は正常対照のそれらに比較して機能対応型の変化とその応答性が示された。また好中球のFcR受容体を介する酸素代謝能およびリンパ球の幼若化能の低反応性が示されたことから、感染に伴う防御機構の低下が示唆された。炎症に付随するサイトカイン関連遺伝子(IL-1β,TNF-α,IL8)の増高が認められた。好中球の異物排除に関与する補体(CR3)と免疫グロブリン(IgG)に対する受容体(IgG-FcR)への刺激に伴う活性酸素生成とその情報伝達系への解析から、共刺激に伴うリン酸化および機能増強が正常対照で認められた。免疫機能修飾の上から、候補物質(lactoferrinとその分解産物、数種のprobiotics)に対する乳腺の機能的応答性、関連遺伝子発現、異物排除活性の検討からその特性を評価し効果的な炎症制御に沿った可能性のある候補物質が把握されたことから、展開としての研究の意義が見い出された。
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Journal of Dairy Research 76(in press)
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