研究課題
<イヌにおける検討>1.イヌエンドセリン-3(ET-3)のクローニングイヌET-3の全長cDNAはpoly(A) tailを除き1976bpから構成されていた。コンピューターによる解析からcDNA上には198アミノ酸をコードする594bpのオープンリーディングフレームが確認された。3'非翻訳領域にはmRNAの不安定性に関わるATTTA配列が1コピー存在していた。塩基配列から想定されたET-3前駆体タンパク質上には、ET-3、bigET-3、ET-3 like peptide領域が確認された。イヌET-3前駆体タンパク質のアミノ酸レベルでの相同性は、ヒト、マウスおよびラット間でそれぞれ65.6、59.8および58.8%であった。2.イヌ臓器におけるreal-time PCRによるET mRNA発現量の定量イヌET-3 mRNAの発現は検索したすべての臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓、脾臓、胃、大腸、小腸、子宮、精巣)で確認された。特に肺では、その他の臓器に比べ10〜1000倍高値を示した。3.イヌ循環器疾患におけるETの役割イヌ心臓糸状虫症に罹患したイヌの各臓器におけるETのmRNA発現量を健康犬のものと比較検討した。ET-2およびET-3では、各臓器おける発現量は健康犬と罹患犬の間に有意な差は認められなかったが、ET-1では心臓と肺で罹患犬が有意に高値を示した。血中ET-1濃度も罹患犬で有意に高値を示した。<ネコにおける検討>1.ネコエンドセリンcDNAのクローニングネコET-1、ET-2のcDNAのクローニングを行い塩基配列からペプチドの構造を検討したところ、ネコET-1ペプチドは他の哺乳動物のET-1ペプチドと比較し1アミノ酸異なっていることが明らかになった(ET-2は同一)。2.腎不全ネコの腎臓におけるETの発現得られた塩基配列の情報を基にプライマーを設計した後、PCR法により腎疾患(慢性腎不全)に罹患したネコの腎臓におけるET-1およびET-2 mRNAの発現レベルを解析し、健康なネコの腎臓での発現と比較した。その結果、慢性腎不全に罹患したネコの腎臓では双方のmRNAの発現が増加していた。ヒトにおいてETは、循環器疾患や腎疾患の病態増悪因子の1つとして考えられているが、今回得られた結果から、ETがイヌやネコの疾患においても同様の役割を果たしている可能性が示された。
すべて 2006
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