本研究では、薬物代謝酵素第1相酸化酵素の内、シトクロムP4501A1(CYP1A1)の遺伝子発現調節機構に関し、主要核内受容体アリルハイドロカーボンレセプター(AhR)を中心とした転写活性化に対して、その基底レベル・IC_<50>・最大誘導レベルを決定する遺伝子の探索を行い、機能解析することを目的とした。 1.モディファイークローニングに向けた細胞株樹立:ヒト由来のヘパトーマであるHepG2およびマウス由来のヘパトーマHepalclc7細胞に対して、EGFPをマウスCYP1A1プロモーターに連結したコンストラクトを安定導入し細胞株を得た。これら細胞はAhR依存性転写誘導をモニターできる細胞である。 2.IRES連結型ルシフェラーゼレポーターシステムを用いたヒトCYP1A1遺伝子のAhR依存性転写に及ぼす第1イントロンの影響に関する解析:独自のIRESコンストラクトベクターを作成し、ヒトCYP1A1遺伝子内部配列、特にイントロン1の配列内にダイオキシン-AhRシグナル彼の遺伝子誘導を抑制する配列が存在することを証明した。 3.ランダマイズドハイブリッドリボザイムライブラリーを用いたマウスヘパトーマ細胞(Hepalclc7)におけるベンツピレン耐性遺伝子のスクリーニングの試み:上記(1)により確立されたEGFPレポーターをもつHepalclc7細胞にレトロウイルス型のランダマイズドリボザイムライブラリーを遺伝子導入した。この細胞集団のうち、メチルコラントレンによるEGFP発現強度の高い集団を分取型セルソーターで分離し、この細胞からライブラリー配列を回収した。
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