研究課題/領域番号 |
17580286
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研究機関 | 小樽商科大学 |
研究代表者 |
山本 充 小樽商科大学, 商学研究科, 教授 (30271737)
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研究分担者 |
出村 克彦 北海道大学, 大学院農学研究科, 教授 (70091551)
林 岳 農林水産省, 農林水産政策研究所, 研究員 (60356300)
高橋 義文 北星学園大学, 経済学部, 講師 (60392578)
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キーワード | メゾ環境勘定(会計) / ハイブリッド型環境勘定 / エコロジカルフットプリント / デカップリング指標 / 農業の多面的機能 / 環境便益 |
研究概要 |
昨年度に構築したハイブリッド型統合勘定のフレームワークを使用し、地域会計行列(貨幣勘定)と地域環境会計行列(物量勘定)から構成される北海道地域全体を対象としたメゾ環境会計を構築した。ここでも、EF(エコロジカルフットプリント)分析を環境勘定に導入し、環境負荷と環境便益の統一的記帳を行い、EFと経済指標を融合させたデカップリング指標(EFDI)の開発を試みた。その結果、1995年から2000年の間で北海道内の環境負荷はEF値で1995年の17.1haから2000年では12.0haへと減少し、環境負荷が低減していることが明らかとなった。しかしながら、依然として北海道のEFは日本全体(2000年4.7ha)と比べて大きく、さらなる改善努力が必要であることが明示できた。さらに、地域内総生産(GRP)を経済指標としたデカップリング指標を産出したところ、酸性化、富栄養化、廃棄物に関してはデカップリングが成立しているが、温室効果と土地利用の面ではデカップリングが成立せず、持続不可能な方向性を持つことも確認された。 また、同様のフレームワークを適用した農林業部門のマクロ環境会計を全国と北海道を対象に作成した。ここでは、農林業が持つ多面的機能を環境便益として捉え、自部門の環境負荷を吸収し、なおかつ他の経済部門の環境負荷を吸収できる力を発揮できるか否かという可能性を評価するため、環境改善能力指標とその変化指標を構築し、環境会計から提供される情報に基づき、指標値の計測を試みた。その結果、1985年から2000年にかけて、農林業は周辺環境質の改善に貢献していることが明らかとなったが、1985年から1995年よりも2000年における貢献度合が強まっており、環境政策の効果が示唆される結果と得た。さらに、これを増進させるには化石燃料への依存度を低減させることと、とりわけ北海道においては家畜ふん尿対策を効果的に行う必要があることも示唆された。
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