レタス根腐病の生物防除に有用な微生物を探索するため、長野県川上村10圃場において栽培レタスの根部エンドフアイト(DSE)およびアーバスキュラー菌根菌(AMF)の感染調査を行い、両菌の感染に影響を与える土壌の化学性(可吸態リン酸、pH、EC、NH_4、NO_3、C/N)を検討した。DSEおよびAMFの平均感染率は18.7%および22.9%、個体あたりの出現頻度は各100%および79%であり、DSEの遍在性を明らかにした。AMFとDSEがレタス根に同時に感染している場合それらは位置的に近く存在する傾向があった。AMFの感染率と土壌可給態リン酸量との間に負の相関があったが、DSEの感染率と有意な相関が見られた土壌要因はなかった。各圃場の土壌を用い、土壌被覆培養法による白紋羽病菌の菌叢生育抑止率、およびバイオセンサー(Bacillus cereus、レタス根腐病菌、レタス根から分離されたDSE)による応答を調べた。菌叢生育抑止率と応答値の間に負の相関、抑止率とC/N比の間に正の相関、応答値とC/N比の間に負の関係がみられた。 DSEであるPhialocephala fortiniiがアスパラガスの生長に及ぼす影響について、4つの窒素処理区(ロイシンと硝酸アンモニウムの単独あるいは組み合わせ)により調べた。全試験区において感染率に有意な差はなく、またP.fortiniiの接種は宿主の生長量に影響を与えなかったが、ロイシン区の感染率と全生重およびS/R比との間にそれぞれ負および正の相関があった。 幼年性アカマツの非外生菌根部の内生糸状菌相の調査を行った結果、DSE、ハルティヒネットおよびのう状体が観察された。DSEは出現頻度100%および感染率37.3%でともに最も高く、優占していた。黒色系菌株の根片あたりの分離頻度に48.7%であった。
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