研究課題
基盤研究(C)
Bacillus thuringiensis MM50G2株のクリスタルに由来する29kDa蛋白質(MM29kD)は、白血病ガン細胞Jurkatに対して強い細胞致死作用を示す(EC_<50>;15.3ng/ml)。本研究ではMM29kDをGST(Glutathione-S-transferase)融合蛋白質(GST-MM29kD)として発現、精製した。1.MM29kDのアミノ酸置換変異体ライブラリーを作成し、活性決定に重要なアミノ酸の分布を調査中である。これまでのところ、Lys203およびIle126におけるアミノ酸置換変異体では3〜4倍の活性増強が認められた。特に前者においては標的細胞への結合親和性が上昇している。MM29kDを低濃度(12ng/ml)でJurkat細胞に投与すると、チトクロームcの細胞質への放出、カスパーゼ活性化を経てゲノムDNAの断片化を伴った細胞死を引き起こすことが判明した。これらの事実からMM29kDは低濃度ではミトコンドリア経由のアポトーシスを誘導すると考えられる。2.MM29kDの受容体を明らかにするため、標的細胞膜に存在するMM29kD結合蛋白質を探索した。Jurkat細胞をPI-PLC(Phosphatidylinositol-specific phospholipase C)処理するとMM29kD感受性が10%以下にまで低下することからGPI-アンカー蛋白質が受容体の有力候補であると考えられる。そこでPI-PLC処理で細胞から遊離する画分を二次元電気泳動で分離し、MM29kDをプローブとしてリガンドブロットを行うと結合蛋白質の存在を示す明確なスポットが認められた。今後この蛋白質の同定を行う予定である。3.抗MM29kD抗体を作成するため、MM29kDの大量調製を試みたが、ウサギを免役するに十分な量のMM29kD精製標品を得るに至らなかった。2.4リットルの大腸菌培養液から約120μgの精製物が得られるので、これを抗原としてマウスを用いて抗MM29kD抗体の作成を行う予定である。
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