研究概要 |
17年度は、鍵反応である高立体選択的マイケルタイプの共役付加反応を活用して、鍵中間体の創製に成功した。すなわち、本研究課題において、5、8位置換インドリチジン型毒ガエルアルカロイドの柔軟な合成ルートを実現するために、鍵中間体として想定したラクタム型キラル素子の効率的な合成法を確立した。この鍵中間体であるラクタム型キラル素子を活用することによって、5、8位置換インドリチジン型毒ガエルアルカロイドである(-)-203A,(-)-233Dの最初のキラル合成を達成し、これら天然物の絶対配置を確定することができた。 さらに、(-)-231C,(-)-219F,(-)-221Iの最初のキラル合成も行い、未だ不明であったこれら天然物の相対配置を確定することができた。また、同様の手法により、(-)-209Bと(-)-235B"のキラル合成も行い、各種スペクトルデータが文献値と完全に一致することも確認した。同じく相対配置が不明である193Eの提出構造のキラル合成も行ったが、本化合物は合成品と天然物の各種スペクトルデータが一致しなかった。よって、193Eの提出構造が誤りであることが判明したが、訂正構造の確定には至っていない。 今後は、上記手法を、1、4位置換キノリチジン型毒ガエルアルカロイドのキラル合成、および極最近報告された6、7-デヒドロタイプの5、8位置換インドリチジン型毒ガエルアルカロイドの合成に適用して、それらのキラル合成を完了すると共に、合成アルカロイドを用いたニコチン受容体抑制活性について検討したいと考えている。
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