研究概要 |
金属カルベノイドの反応をさらに金属ニトレノイドへ展開した。 カルバメート類のC-Hアミノ化反応を利用する免疫調節薬(+)-conageninの合成研究 (R)-3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸メチルを対応するカルバメートに変換し,これを触媒量のRh_2(OAc)_4とPhI(OAc)_2およびMgOと反応させると,Rh(II)触媒C-Hアミノ化がおこり(S)-4-メチル-2-オキソオキサゾリジン-4-カルボン酸メチルが得られた。オキサゾリジノン環を開裂してN-Boc-α-メチルセリンメチルエステルに導いた。一方,(S)-3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸メチルから2度の立体選択的Zn(BH_4)_2還元を鍵反応として(2R,3S,4R)-2,4-ジアセトキシ-3-メチルペンタン酸を合成した。最後に合成したα-メチルセリンとペンタン酸のアミド化により(+)-conageninを合成した。さらに,合成中間体をもちいて,メチル基の一つ少ない類縁体を2種合成した。 カルバメート類のC-Hアミノ化反応を利用するα-メチルアミノ酸類の簡便合成 (R)-3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸メチル由来のカルバメートのRh(II)触媒C-Hアミノ化は反応効率が低く,一般合成法としての有効性にやや難点があった。そこで,エステル基を還元した3-シリルオキシ-2-メチルプロピルカルバメートを用いると,反応性が飛躍的に向上し,対応するオキサゾリジノンが高収率で得られた。得られたオキサゾリジノンは容易に種々のα-メチルセリン類の有用な合成中間体である(R)-および(S)-2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオールモノエーテルに変換された。 カルバメート類のC-Hアミノ化反応を利用するスフィンゴシン関連物質(+)-pachastrissamineの不斉合成研究 文献既知の(E)-5-(ρ-メトキシベンジルオキシ)-2-ペンテン酸メチルを出発物質とし,不斉ジヒドロキシ化,続く化学変換により,(2S,3S)-3-ヒドロキシ-2-テトラデシル-2,3,4,5-テトラヒドロフランを不斉合成し,そのカルバメートのRh(II)触媒C-Hアミノ化を検討したところ,首尾良く対応するオキサゾリジノンが得られた。このものをアルカリ加水分解して(+)-pachastrissamineを得,最初の不斉合成を達成した。
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