研究概要 |
phomopsidinの構造活性相関を念頭に置き、その全合成ルートの最適化を行った。その結果、C11位の立体配置を反転させた基質においてTADA反応を行うと、C11位以外の不斉中心を所望の立体配置とする生成物が>20:1の比で高立体選択的に生成することを見出した。また、C11位の不斉中心は水酸基の酸化、得られたケトンの高立体選択的還元(>20:1)により、反転させることができた。このようにして、すでに報告したphomopsidinの全合成中間体の効率的合成ルートを見出すことができた。また、そのTADA反応の基質の合成における鈴木-宮浦反応に必要なヨードアルケンをより安価な市販原料より合成できることを見出し、TADA反応の基質の大量合成に成功した。このようにしてphomopsidinの誘導体合成を開始することができた。 2位にメチル基と保護されたヒドロキシメチル基を有する1,3-シクロアルカンジオンのbaker's yeastおよびCBS還元による高立体選択的不斉還元に成功した。そして、得られたキラルビルディングブロックからTaxolのフラグメントの合成、およびそれらの立体選択的カップリングに成功し、カップリング体より誘導したエノンへのシアン化物イオンのマイケル付加、またはカップリング体より誘導したアリルホスホニウム塩のSN2'還元が高立体選択的に所望の生成物を与えることを見出し、課題であったC3位の不斉中心の構築に成功した。 エステルにより活性化を受けたジエノフィルを有する(E,E,E)-ノナ-1,6,8-トリエンのC3位の立体配置がIMDA反応におけるジアステレオ選択性に決定的な役割を果たしていることを見出した。この発見をもとにIMDA反応およびヘテロIMDA反応を基軸としてFR182876の6つの環のうち4つの構築に成功し、現在、初の全合成達成を目指している。
|