研究概要 |
前年度までに確立した(+)-phomopsidinの効率的不斉全合成ルートをもとに、(+)-phomopsidjnの立体選択的誘導体合成を行った。(+)-phomopsidinの母核部分のアルケンを飽和結合にしたもの2種類、シクロプロパン体にしたもの1種類を高立体選択的に合成することに成功した。これらの微小管重合阻害活性いついて現在検討中である。 2位にメチル基と保護されたヒドロキシメチル基、および2位に2つのメチル基を有する1,3-シクロアルカンジオンのbaker's yeastにより得られたキラルビルディングブロックをカップリングさせることにより、所望のアリルアルコールを高立体選択的に合成した。そのバナジウム触媒によるエポキシ化反応も高立体選択的に進行し、得られたエポキシドにルイス酸を作用させると、1,5-ヒドリドシフトが高立体選択的に進行し、TaxolのC3位の不斉中心の構築に成功した。得られた化合物の鈴木-宮浦反応によるタキサン骨格への変換は、反応条件最適化の結果、71%の高収率で行えることがわかった。現在、生成物のアリル位の酸化を検討中である。 エステルにより活性化を受けたジェノフィルを有する(E, E, E)-ノナ-1,6,8-トリエンのC3位の立体配置を逆転させた基質のIMDA反応によりFR182876のAB環部分の立体選択的構築に成功した。続くIMHDA反応においては、α,β-不飽和ケトンのアルケン部分の幾何配置がジアステレオ選択性に密接に関係していることを見出し、Z-アルケンを用いると所望の生成物が高立体選択的に得られることが判った。この結果を利用し、現在、FR182876の初の全合成達成を目指している。
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