研究課題
基盤研究(C)
N-ニトロソ化合物による毒性発現機序は肝薬物代謝酵素CYPによって生成したアルキルカチオンがDNAおよびタンパクをアルキル化することによって毒性を発現する。その一方でCYPはN-ニトロソ化合物から一酸化窒素(NO)を発生させることも報告されている。本研究ではN-ニトロソ化合物の毒性発現機序への酸化ストレスの関与を明らかにすることを目的として、中国から輸入された健康食品に含まれていたN-ニトロソフェンフルラミン(NO-fen)について、DNA損傷能とその反応機構について検討を行った。その結果、1)NO-fenはCu(II)存在下、活性酸素を発生しpBR322DNAに対して強力な切断活性を示した。このDNA切断反応はフェンフルラミン(fen)では進行しないことから、N-ニトロソ構造を有するNO-fenに特徴的であることがわかった。また、DNA切断反応は一価の銅のキレート剤であるバソキュプロインを添加すると抑制されることから、N-ニトロソ化合物による銅の還元が進行していることがわかった。2)活性酸素のスピントラップ剤としてDEPMPOを用いて、NO-fenとCu(II)存在下、ESRを測定したところ、ヒドロキシルラジカル付加によるDEPMPO-OHのシグナルが観測された。また,ESRによる一酸化窒素検出試薬としてcarboxyPTIOを用いたところ、NO発生に特徴的なcarboxyPTIのシグナルが観測された。以上の結果より、NO-fenはCu(II)の-電子還元反応を経由して酸素を還元活性化し、ヒドロキシルラジカル様活性酸素として銅結合型の活性酸素(Cu(I)-OOH)を発生してDNAを切断すること、また、その過程で一酸化窒素を発生することが明らかとなった。本研究結果はN-NO化合物の毒性発現への活性酸素の関与を予測するものである。しかしながらNO-fen投与ラットの肝臓について活性酸素障害のマーカーである8-0HdG量を測定してみたところ、有意な上昇はみられなかった。今後は投与計画の再検討をおこなうとともに、他のNO化合物についても活性酸素毒性について検討を行う予定である。
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