研究課題/領域番号 |
17590032
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
後藤 了 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助手 (50253232)
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研究分担者 |
小松 和志 高知大学, 理学部, 助教授 (00253336)
堀 均 徳島大学, 工学部, 教授 (90119008)
寺田 弘 東京理科大学, 薬学部, 教授 (00035544)
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キーワード | Manifold / 配置空間 / 水晶発振子センサー / 糖分子認識 / Interconversion |
研究概要 |
生命科学・合成化学アプローチの分野としては、水晶発振子センサー表面にウシ由来糖タンパク質であるフェツインのシアリダーゼ処理標品(アシアロフェツイン,ASF)を固定し、これに代表的なマメ科植物レクチンであるコンカナバリンA(ConA)を結合させた系に対して、マンノース(Man)、グルコース(Glc)などの単糖およびその誘導体などが示す結合阻害を定量したところ、報告値や我々が表面プラズモン共鳴センサーにて測定した結果とほぼ一致した。さらに、ConA-ASF相耳作用は反応溶液の塩濃度によって強度が変化し、塩濃度が低いほど結合性が増した。反応溶液の塩濃度の増大がConA-ASF相互作用を低下させることは、レクチン結合部位に存在する金属イオンの相互作用への影響が低下する可能性を示唆すると推測した。そこで、塩ではなくイオン性の糖関連物質としてシアル酸(N-アセチルノイラミン酸,NANA)による影響を解析したところ、これも高濃度では阻害作用を示すことが確認された。しかしながら、低濃度ではConA-ASF相互作用を増強していると解釈されるデータが得られており、結合部位でのより詳細な解析の必要性が確認された。 一方、計算機化学的アプローチ・数学的アプローチでは、9員環の環状飽和炭化水素のコンフォメーションを探索し、固有値分解すると独立な次元は6次元であるが、この中に存在する配置空間は閉じた多様体を形成しており、これは5次元の表面に相当する。これは高い対称性を有するが、これまでに開発した精密な剛体分子模型を用いて実験した結果でも、8員環までは結合の回転に束縛が見られ、取りえない二面角が確認されるが、9員環以上では全ての二面角を取りうる場合を見いだすことができる。すなわち、3員環〜8員環では取りうるコンフォメーションが変換するインターコンバージョン配置空間が単純な高次元球面構造を形成すると推定されるが、9員環以上では配置空間が特異点を有する可能性が示唆された。緻密な数学的証明を検討中である。
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