研究課題
数種のビスインドリルマレイミド(BIM)の誘導体及びArcyriaflavin A(AFA)の合成を行い、その蛍光及び化学発光を測定した。ジメチルホルムアミド(DMF)及びアセトニトリル(CH_3CN)溶液中、BIMの誘導体の蛍光極大波長は550nm以上であった。水、メタノール及びエタノールなどのプロトン性溶液中、BIMの誘導体の蛍光強度は顕著に減少した。AFAの蛍光強度はBIMの蛍光強度の7倍及び10倍であった。DMF-水溶液中、AFAの蛍光強度の減少はBIMのそれに比較し顕著に低かった。DMF及びCH_3CN溶液中、BIMの化学発光強度はAFAの化学発光強度の5倍及び31倍であった。本実験結果から高感度測定においてBIMは化学発光試薬、AFAは蛍光試薬として有用であることを見出した。BIMの推定化学発光メカニズムを明らかにすることを目的として、BIMの化学発光反応後の溶液を高速液体クロマトグラフィー-エレクトロスプレーイオン化法(HPLC ESI-MS)にて質量分析することで反応生成物を解析した。その結果、BIMは少なくとも4種の化学発光反応が存在し発光していると推定された。また、BIMの化学発光強度が一重項酸素(^1O_2)に大きく影響を受けることを見出し、抗酸化能を有するクルクミン及びエピガロカテキンガレートがBIMの化学発光強度を顕著に減少させることを確認した。これらの研究結果を日本分析化学会54年会(名古屋)、Asia Young Analytical Chemist Session 2005(千葉)及び第22回日本薬学会九州支部大会(福岡)にて報告した。AFAからルミノール型化学発光が期待されるフタルヒドラジド構造への合成も着手している。また、計算化学的手法を用いて各発光物質の発光体の構造最適化を行い本実験結果との理論化学的解析を行っている。
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Talanta (In press)
Bioluminescence & Chemiluminescence, Progresss and Perspectives
ページ: 175-178
ページ: 179-182