研究概要 |
本年度、更にBisindolylmaleimide(BIM)誘導体14個を合成しその蛍光・化学発光を測定した。200nm以上のストークスシフト及び蛍光強度の強いBIM誘導体を見出すことができた。また、ジメチルホルムアミド中、BIM誘導体の単一励起波長(365nm)によるマルチカラー蛍光発光(青緑〜榿)の可能性も見られた。アセトニトリル中、Skatole(3-methylindole)の化学発光特性と比較し10分間以上の発光が可能な持続性かつ高感度なBisindolylmaleimide誘導体を数種見出した。3,4-Bis(3-indolyl)-lH-pyrrole-2,5-dione(1)のマレイミド部位の2,3位を還元した化合物cis-3,4-Bis(3-indolyl)-2,5-pyrrolidinedioneの蛍光及び化学発光強度は明らかに減少した。マレイミド構造からルミノール型化学発光が可能なフタルヒドラジド構造へと誘導化したIndoro[2,3-α]-pyrrolo[3,4-c]carbazole-5,8(6H,7H)-dioneを合成したが強い化学発光強度は得られなかった。これらの蛍光及び化学発光測定結果からBIM誘導体における置換基と発光特性との関連を得ることができた。分子科学計算結果から、1及びIndoro[2,3-o]pyrrolo[3,4-c】carbazole-5,7(6H)-dioneのHOMOがインドール環付近に局在化したπ共役である一方、LUMOはマレイミド部位の非結合型のπ共役となっていた。本研究結果から、BIM誘導体の蛍光発光において、(i)マレイミド部位のC=C結合によるπ共役の延長が長波長蛍光発光を生じさせている(ii)マレイミド部位のC=C結合のジオキセタン化学発光がBIMの強い化学発光強度を生じさせていると考えられる。本研究結果を第25回メディシナルケミストリーシンポジウム(名古屋)及び第23回日本薬学会九州支部大会(熊本)にて報告した。
|