研究課題/領域番号 |
17590036
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岐阜薬科大学 |
研究代表者 |
近藤 伸一 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (90240944)
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研究分担者 |
笹井 泰志 岐阜薬科大学, 薬学部, 助手 (60336633)
葛谷 昌之 岐阜薬科大学, 薬学部, 教授 (10082984)
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キーワード | バイオチツプ / 生体分子固定化 / 持続性親水性表面 / プラズマ表面処理 / 抗血栓性 / 自己組織化膜 / ヘパリン / リン脂質 |
研究概要 |
本年度においては、プラズマ照射により構築した親水性フィルムへのヘパリンの固定化を行うにあたり、フィルム表面とヘパリンとの相互作用に伴う活性の低下を回避するために、フィルム表面とヘパリンとの間にスペーサーの導入を行った。スペーサーとしては、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)およびホスファチジルエタノールアミン(PE)を用いた。 HMDAをスペーサーに用いてヘパリンを固定化すると、親水性フィルムに直接ヘパリンを固定化する場合よりもヘパリンの固定化量を増大させることが可能であった。しかしながら、固定化したヘパリンの相対活性は改善されなかった。その理由として、ヘパリン1分子中の複数のカルボキシル基がHMDAとの結合に関与するためフレキシビリティの低下がその一因ではないかと推測された。 フレキシビリティの向上という観点から、より長いアルキル鎖を有し、生体分子でもあるリン脂質の固定化を試みた。リン脂質としてPEを用い、HMDAを固定化したフィルム表面へのPE自己組織化膜形成を試みた。その結果、親水性フィルム表面にはPE自己組織化膜は形成されないのに対し、HMDAを固定化したフィルム表面にはPE自己組織化膜を形成させることが可能であった。また、この自己組織化膜を空気中に取り出した後、再度、水中に放置してもPEの脱離は検出範囲内において観測されなかった。さらに、PE自己組織化膜にヘパリンを固定化することにより、固定化量の増大、ならびに、相対活性も市販品と同等の活性が得られた。これは、HMDAに比べてPEのフレキシビリティが高いため、ヘパリンの活性が保持されたためと考えられる。
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