1)DNA-Cu(II)-ポリアミン膜への耐熱性酵素の固定化法の探索 DNA-Cu(II)-ポリアミン(PAA)膜は、過酸化水素の有効な電解還元触媒として機能し過酸化水素電極の感応膜として有効であることが研究代表者(長谷部)により明らかにされている。そこで研究分担者(石川)が大腸菌内での大量発現に成功したThermus thermophius由来のNADHオキシダーゼ(NADH-Ox)およびStreptomyces sp.由来のグルタミン酸オキシダーゼ(GLOx)をDNA-Cu-PAA膜被覆電極に固定化し、酵素反応で生じた過酸化水素の触媒電流を測定した。その結果、GLOxを固定化したグルタミン酸センサは、10^<-7>M〜10^<-4>Mのグルタミン酸の定量が可能であることを明らかにした。一方NADH-Oxについては補酵素としてFADを溶液内に添加する必要があるため、現在FADおよびそれに変わる人工補酵素を組み込んだ酵素の大腸菌内での発現を試みている。 2)過酸化水素に選択透過性を示すハイブリッド型ゾル-ゲル膜への耐熱性酵素の化学修飾 選択透過性を持つ有機無機ハイブリッド型ゾルゲル膜に耐熱性酵素を共有結合により化学修飾する方法について検討した。このゾル-ゲル膜はBSA、キトサン、およびフッ化水素鎖を持つシリカ系アルコキシドから作製され、分子ふるい効果に基づいて過酸化水素電極の応答を妨害するアスコルビン酸や尿酸などの影響を抑制することができる。そこでBSAやキトサン由来のアミノ基をグルタルアルデヒドにより架橋固定化することによりNADH-OxおよびGLOx、グルコースオキシダーゼ(GOx)、乳酸オキシダーゼ(LOx)を固定化しセンサを作製した。センサの応答時間はいずれも5秒以内と迅速であり、10^<-6>M〜10^<-3>Mの基質測定が可能であった。現在、還元剤による基質再生反応の有無について検討しさらなる高感度化を図るとともに、センサ応答の長期安定性について検討している。
|