研究概要 |
1)マルチトレーサーを生きたラット体内に投与して、非侵襲的に体外からγ線スペクトルを測定して生体微量元素の体内分布を評価した。測定した核種は^7Be,^<54>Mn,^<58>Co,^<65>Zn,^<74>As,^<75>Se,^<83>Rb,^<85>Srである。正常群とSe-群のin vivoにおける分布を比較するために体内に比較的長く存在する^<74>Asと^<83>Rbで標準化して、他の核種の相対的な分布の経時変化を評価した。 2)セレン欠乏(SeD)ラットと正常(Normal)ラットをケトン体レベル(KBLs)と酸化的障害の週齢依存性を比較した。SeD餌は若い週齢のラット群に高いケトン体レベルを与えた。しかし、SeD群のKBLsは週齢とともに減少する傾向を示した。飲料水(0.1mg/kg Se)とSeD餌は8週齢ではKBLsには変化を与えなかったが、0.1mg/kg Se in water添加による老齢(20週齢)ではKBLsは低下した。血液KBLsは組織障害と関連があった。TBARSsは組織障害およびKBLsとは関連がなかったが、6-20週齢の尿中normal ratsと4-16週齢の肝TBARSsには相関があった。SeD群の蛋白で標準化した腎TBARSはBUNや血液中のLBLとある相関があった。SeD群の腎TBARSは酸化ストレスや酸化的障害に敏感のように見られる。SeD群の組織障害は週齢とともに減少した。 3)低線量ベータ線(^<90>Sr-^<90>Y)照射によるラット肝臓部におけるフリーラジカル反応をニトロキシルスピンプローブの尾静脈注射により、その還元速度をESRのシグナル強度の経時変化から評価した。胆管にカニュレーションを施し、ポリエチレンチューブで胆汁をESRのcavityに導きニトロキシルプローブのEPR信号の減衰を測定した。ベータ線照射ラットは未照射ラットと比較してニトロキシルプローブのシグナル減衰速度は、速かった。ニトロキシルラジカルのEPRシグナル減衰は大気中より窒素中のほうが大きかった。結果は組織の酸素レベルが低いときには、β線照射はニトロキシルラジカルのシグナル減衰が起こり、これはフリーラジカルに由来していることを示唆する。組織酸素濃度が高い場合には、プローブであるhydoroxylamineの過酸化水素による酸化よりESRシグナル強度の減少は少なくなる。この研究により低線量ベータ線照射により活性酸素種の生成を示すことができた。
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