研究概要 |
(1)タウBMDドメイン間の自己会合に重要な各リピート構造領域とそのアミノ酸残基の同定 前年度までの研究成果から、MBDドメインの4回繰り返し構造の内、第2番目と第3番目の繰り返し構造がタウMBDの自己会合に重要で、とりわけ、そのN-末端構造とそれを構成するペプチドの内、前者ではリジン、後者の場合はプロリン残基が重要であることを明らかにした。そこで、本年度は第1番目と第4番目のリピート構造のBMD自己会合に対する影響を調べるため、R12,R13,R23,R34,R123,R134,R234,R1234の各種の組合せリピートMBD変換体を遺伝仕組み和えにより作成し、その自己会合について、種々の物理化学的手法で解析した。その結果、自己会合にはR23の組合せリピートが最も促進的であり、R1,R4はその自己会合に抑制的に作用することを初めて明らかにし、さらに、R23の強力な自己会合能は先に示したリジンやプロリンに加えて、R3リピート内に存在するチロシンに大久喜起因していることを初めて明らかにし、学会発表した。H19年度はこれらアミノ算残基に対して高い結合特異性を示す化合物を検索し、そのMBD自己会合抑制効果について検討する。 (2)タウBMDドメイン間の自己会合を阻害する分子の設計 昨年度までの研究成果として、正常な機能を有するタウ蛋白質は可溶性のランダム構造をとるのに対して、溶媒やpH等による環境変化に応じてタウ蛋白質のMBDドメイン構造には両親媒性のベータシート構造やアルファヘリックス構造に変換しやすい領域が存在し、その領域はタウ蛋白質の自己凝縮と極めて関係深いことを明らかにすると共に、これまでにMBDの各リピート構造部分の最も両親媒性のシート構…造形成能およびヘリックス構造形成能の高いペプチド配列について、この配列と選択特異的に結合(相互作用)する数種類のベプチドを分子設計並びに化学合成した。とりわけ、MBDドメインの4回繰り返し構造の第3番目のN-末端6残基であるVQIVYKおよびその類似ジペプチドはβシート構造を形成し、田D凝集を有意に抑制することを初めて明らかにした。現在さらに高い抑制効果を示すペプチドを設計している。 (3)BMDドメインの各リピート構造を特異的に認識する抗体の調整と各校帯によるタングル形成会合阻止実験 昨年度までの研究成果を基にさらに実験を進め、研究本年度は、(i)MBDの各繰り返し構造(R1〜R4)の異なった特定の機能性領域を選択的に認識する抗体を種々作成し、(II)タウ蛋白質のタングル形成阻止能を調べ、(III)R2-R3を認識する抗体に顕著な形成阻害を示すことを明らかにした。これは上記(1)の結果を支持するものであり、我々の研究手法の正しさを示しており。現在、R23を選択特異的に認識する抗体の作成を進めている。,
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