研究概要 |
マウス体内のグルタチオン量をブチオニンスルフォキシミン(BSO)処理で減少させたところ、静脈内投与したニトロキシルプローブ3-carbamoyl-2,2,5,5-tetramethylpyrrolidine-N-oxylのESRシグナルの消失が遅くなり、ニトロキシルラジカルの還元速度がグルタチオン量に影響されることがわかった。 アシル保護ヒドロキシルアミンプローブ1-acetoxy-3-carbamoyl-2,2,5,5-tetramethylpyrrolidine(ACP)を健常マウスへ静脈内投与したところ、胸部から腹部にかけてニトロキシルラジカルのシグナルの分布が観察され、それは投与約5分後から40分後までほとんど変化がなかった。 容器に入れたニトロキシルプローブの標準溶液をマウスと共に測定することで、ESR画像のシグナル強度をマウス間で比較することができた。X線7.5Gy照射後4日目のマウスにACPを静脈内投与し、ESRシグナル分布の時系列画像を非照射マウスの場合と比較した。ACP投与約10分後から20分後にかけてX線照射マウスでは非照射マウスに比べて胸部から上腹部にかけてのシグナル強度が強く、X線照射で還元能の衰えを画像解析できる可能性が示された。 生体内での代謝酵素によるニトロキシル基の還元を立体障害により減じるために、ニトロキシル基に隣接する炭素にシクロヘキシル環を付けたニトロキシルプローブをデザインした。このプローブのESRシグナルは線幅が広く、in vivoにおける検出には困難が予想されるものの、マウス肝ホモジネート中のESRシグナルの減衰は従来のメチル基保護のものより抑制され、有効性が示された。
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