研究概要 |
疾患モデルマウスにおけるESR画像:酸化的ストレスの関わる疾患としてリポポリサッカライド(LPS)の腹腔内投与により敗血症モデルマウスを作成し、in vivo ESRによる生体レドックスの測定が可能か否かを検討した。アシル保護ヒドロキシルアミンプローブ 1-acetoxy-3-carbamoyl-2,2,5,5-tetramethylpyrrolidine(ACP)を静脈内投与して胸部から腹部にかけてのESR画像を経時的に撮像した。健常マウスでは投与直後に上腹部で現れたESRシグナルが時間と共に減少したのに対し、LPS処理マウスではそのシグナルが持続した。活性酸素消去剤(カタラーゼ及びSOD)あるいはNO合成酵素阻害剤(L・NAME)の投与でLPS処理マウスでもシグナルの持続が見られなくなり、活性酸素並びにNOの関与でシグナルの持続が起こることが示唆された。 プローブの体内動態:ACPを投与後、時間を追って肝臓における加水分解体の総量(ニトロキシルラジカル+ヒドロキシルアミン体)を測定したところ、上記ESR画像の測定時間全体に亘ってLPS処理マウスでは健常マウスより多かった。しかし、その量はいずれのマウスでも同じように時間と共に減少した。このことは、ESR画像で見られたシグナルの持続時間の違いが単なるプローブの分布の違いではないことを示す。 プローブの改良:昨年還元酵素回避能を持つことが示された2位と6位にスピロシクロヘキシル環を付けたピペリジンニトロキシルラジカルについて、活性酸素との反応性を調べた。4位の置換基がhydroxy基のものはシステイン存在下スーパーオキシドラジカルとの反応でも、またヒドロキシルラジカルとの反応でもESRシグナルを減じ、プローブとして有効であることが示唆された。
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