研究概要 |
1,家族性パーキンソン病原因遺伝子DJ-1の神経変性阻止効果について DJ-1タンパク質は、生化学的及び培養細胞を用いた研究から、DJ-1は106番目のシステインが、自己酸化することにより、活性酸素分子種(ROS)を還元(消去)することを代表者は既に明らかにしている(EMBO.Rep.2004,5,213-218)。そこで、動物個体でのROS(神経変性作用薬物)により生じる神経変性作用に対してDJ-1タンパク質の機能を解析した。ラット中脳に、パーキンソン病様病態を誘起する、6-ヒドロキシドーパミン(6-OHDA)を微量注入し、パーキンソン病モデル動物を作成した。このモデル動物に、DJ-1野生型、家族性パーキンソン病患者で見いだされているL166P変異体タンパク質を6-OHDAと同時、または24時間後に中脳内注入した。その結果、6-OHDAによりチロシンヒドキシラーゼ(TH)陽性細胞の喪失を惹起するが、野生型DJ-1タンパク質を同時投与した場合、TH陽性細胞喪失が抑制され、一方、変異型DJ-1(L166P)では、その抑制効果が見られなかった。また、24時間後の投与した場合でも、TH陽性細胞の喪失を抑制した。(現在投稿中) 2,DJ-1結合タンパク質の探索 DJ-1は上記に示した、抗酸化ストレス防御作用を持つほか、転写因子、タンパク質分解酵素、アポトーシス阻害因子など多様な機能が現在までに明らかにされている。そこで、その機能メカニズムを明らかにするため、DJ-1結合タンパク質を酵母Two-Hybrid法、プロテオーム法、抗体アレイ法により検索した。その結果、ユビキチン様タンパク質SUMO-1、リン酸化関連酵素Abstrakt、p53結合タンパク質TOPORS/p53BP3、抗酸化ストレスタンパク質SOD3が明らかとなった。(既に、研究論文として公表した)
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