研究課題
基盤研究(C)
本研究では、DNA傷害の検知と修復の過程を生化学的に捉えることを目的とし、遺伝子構造安定性維持機構に重要な役割を果たすBLM、WRN、RecQL4などのRecQヘリカーゼの挙動と機能を解析の中心に据え、これを手がかりとしながら広範なメカニズムを解析の対象とすることを目指してXenopus卵抽出液を用いた実験系による検討を行った。まず、高発がん性を特徴とするBloom症候群の原因遺伝子産物BLMのDNA二本鎖切断(DSB)に依存した挙動の変化について検討したところ、DSBに応じたDNA依存性プロテインキナーゼおよびATMによるBLMのリン酸化が観察された。早老症に分類されるWerner症候群、Rothmund-Thomson症候群の原因遺伝子産物であるWRN、RecQL4についてはDSBに応じたクロマチンへの結合の増加が認められた。両者の結合は一本鎖DNA結合タンパク質複合体(RPA)を反応系から除去することにより抑制されたが、DNA組換え修復機構に必須と考えられるRad51の機能を抑止しても変化は認められなかった。このうちRecQL4については、DSBの指標となるリン酸化型ピストンH2AX(γH2AX)の減少を検出することによりDSB修復効率について検討した結果、RecQL4免疫除去卵抽出液を用いた場合にγH2AXの減少の顕著な遅れが観察された。次に、checkpoint経路の起点となるATR/ATMの阻害剤であるcaffeine、ATMだけでなく非相同末端結合修復(NHEJ)に関わるDNA-PKも阻害するwortmanninを卵抽出液に添加したところ、DSBに応じたRecQL4のクロマチン結合が減少した。この効果はcaffeineよりもwortmanninで顕著であったため、RecQL4はDSB修復過程においてDNA-PKの下流で機能していることが示唆された。そこで、DSBを誘導したクロマチンとRecQL4を結合させた後に免疫沈降を行ったところ、沈降画分中にDNA-PKのサブユニットであるKu70が検出された。以上の結果より、RecQL4がNHEJに関与してDSB修復機構に寄与することが示唆された。
すべて 2007 2006 2005
すべて 雑誌論文 (29件) 図書 (1件)
Biological & Pharmaceutical Bulletin (印刷中)
Genes and Genetic Systems (印刷中)
Biochemical and Biophysical Research Communications 356
ページ: 1031-1037
Biochimica et Biophysica Acta 1773
ページ: 556-564
Biochemical and Biophysical Research Communications 355
ページ: 835-841
Frontiers in Bioscience 12
ページ: 1629-1641
ページ: 477-482
Biological & Pharmaceutical Bulletin (in press)
Genes and Genetic Systems (in press)
Molecular and Cellular Biology 26
ページ: 6299-6307
Nucleic Acids Research 34
ページ: 3389-3398
病理と臨床 24
ページ: 1299-1302
DNA Repair 5
ページ: 816-828
ページ: 1307-1316
Biochemical and Biophysical Research Communications 348
ページ: 62-69
生化学 78
ページ: 221-229
Biological & Pharmaceutical Bulletin 29
ページ: 2192-2196
Biochemical and Biophysical Research Communications 351
ページ: 935-939
Pathology and Clinical Medicine (Byori to Rinsho) 24
Seikagaku 78
in "Reviews and Protocols in DT40 Research (published by Springer, New York, USA)"
ページ: 26
Journal of Biological Chemistry 280
ページ: 19689-19694
Nucleic Acids Research 33
ページ: 765-775