研究概要 |
1.デヒドロアスコルビン酸(DehAsc)レダクターゼ(dhar)遺伝子を組み込んだpRcCMVベクターを導入したハムスター由来卵巣細胞CHOはDHARタンパクが核に殆どなく、非導入細胞で検出できない細胞質に一面散在していて、このdhar遺伝子発現を介して、 DehAsc/グルタチオン誘導体GSH-iPr同時添加で、過酸化脂質t-BuOOHによる細胞死、DNA切断が防御されることが検証された。2.虚血・再灌流モデル低酸素・再酸素化(H/R)系での細胞死はdhar非導入細胞で顕著だったが、dhar導入細胞では低酸素化2-5時間前でのDehAsc/GSH-iPr併用投与で防御された。3.CHO/dhar細胞へのDehAsc/GSH-iPr同時投与は1〜6時間後で細胞内Ascが増加し、増加Ascを介して、t-BuOOH処理後やH/Rでの再酸素化1-3分後に急増する細胞内ハイドロパーオキサイド・過酸化水素がDehAsc/GSH-iPr併用投与で著減した。4,生物進化の霊長類の段階でAsc合成律速酵素GLO遺伝子が脱落した中でdhar遺伝子がなぜ進化保存されてきたか。還元性水素水(溶存水素濃度963ppb、酸化還元電位-788mV)中で、 dhar導入細胞は酸化ストレス軽減分だけ、Asc再生能もDehAsc細胞内取込みも亢進されず、水素不含純水調製培地で豊富な細胞内活性酸素は水素水調製培地では著減すると共に、Asc残存率は水溶化後27時間、純水で当初の2-3割に低下し、水素水で7割以上保持されることから、水素水ではAsc再生のためのdhar発現必要度が低下し遺伝子発現節約という合目的性が働くと考えられる。生命進化38億年で水素水ほどの還元状態が持続的に具現されなかったので、dhar遺伝子は遺伝子節約理論によるGLO遺伝子脱落と対照的に、進化保持されてきたと共に、効率的なAsc再生と活性酸素抑制が内在性dharだけで不十分で外来性dhar導入が必要なことが示唆された。
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