研究概要 |
1.神経変性疾患モデル動物を用いたin vivoでのPEDFの作用の解析 (1)PEDFの神経保護効果の解析 これまでPEDFの中枢神経系における神経保護作用は、初代培養細胞を用いた実験系により評価されており、in vivoでの神経保護効果については現在まで検討されていない。そこで種々の神経変性疾患モデル動物におけるPEDFの効果について、PEDF組換えアデノウイルス(Ad.PEDF)を用いて検討をおこなった。現在までに、ハンチントン舞踏病モデル動物や脳虚血モデルラットにおける神経細胞死をPEDFが強く抑制することを見いだした。 (2)変異型PEDF蛋白を用いた神経保護活性発現ドメインの解析 PEDFは418個のアミノ酸より構成される蛋白であるが、神経保護作用にはアミノ酸残基78-121の44merのペプチドが、血管新生阻害作用にはアミノ酸残基44-77の34merのペプチドが重要な役割を担っていることがin vitroの実験系により明らかとされている(Filleur et al.,Cancer Res.2005)。そこでこれらのペプチド領域が実際にin vivoでの効果に関連しているかどうかを明らかとするために、各活性発現ドメインを欠損させた変異型PEDF蛋白の過剰発現系を構築し、活性発現部位の有無による神経保護効果への影響について神経変性疾患モデルラットを用いたin vivoの系で評価する。現在までにアデノウイルスベクターを用いたin vivoにおける変異型PEDF蛋白発現系の構築を終了し、その評価を行っている。 2.脳内PEDF産生細胞の同定 抗PEDF特異抗体を用いた免疫組織化学的手法、及びin situ hybridization法を用いて、各種細胞マーカーとの多重染色により脳内PEDF産生細胞の同定を行った。現在までに、小脳ではプルキンエ細胞でPEDFが強く発現していることを確認した。
|