1.培養細胞を用いた解析 (1)平成17-18年度に構築したC6グリオーマ細胞を用いたレポータージーンアッセイによりPEDF産生促進物質の探索を行った。植物由来単離化合物や植物エキス463種類について検討した結果、和漢薬由来成分であるルテカルピン及びフォルモノネチンに強いルシフェラーゼ活性誘導作用が認められた。両化合物は培養アストロサイトに対するPEDF発現誘導活性を有することを明らかとした。 (2)培養成熟オリゴデンドロサイトを用いた解析により、グルタミン酸毒性によるオリゴデンドロサイト細胞死をPEDFが抑制することを見いだした。 2.動物個体レベルでの解析 平成17-18年度に構築した組み換えアデノウイルスによる脳内PEDF過剰発現系を構築し、in vivoにおけるPEDFの作用について検討を行い、以下のことを明らかとした。 (1)PEDFを過剰発現させた動物では、一過性脳虚血後の梗塞体積や脳浮腫率が低下するとともに、変性ニューロン数の減少が認められた。(2)一過性脳虚血負荷により認められるマイクログリアの活性化、炎症関連遺伝子の発現誘導、アストロサイトやオリゴデンドロサイトの変性は、PEDFの過剰発現により強く抑制された。(3)キノリン酸の投与により傷害を受けた小脳において反応性アストロサイトよりPEDFが強く産生されることを見いだした。また同様の現象が虚血負荷後の大脳皮質、線条体で認められた。
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