研究課題/領域番号 |
17590071
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研究機関 | 女子栄養大学 |
研究代表者 |
堀江 修一 女子栄養大学, 栄養学部, 教授 (60157063)
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研究分担者 |
大蔵 直樹 帝京大学, 薬学部, 専任講師 (60349256)
大石 勝隆 産業総合研究所, 生物機能工学研究部門, 研究員 (50338688)
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キーワード | 体内時計 / 時計遺伝子 / 末梢時計 / 概日リズム / 血管内皮細胞 / トロンボモジュリン / 抗血栓性 / Clock |
研究概要 |
これまでの動物実験の結果から、トロンボモジュリン(TM)発現には時計遺伝子産物のCLOCKの存在が重要であると理解できたので、本年度は末梢時計によるTMの制御機構について主に細胞培養系で調べた。また、Clock変異マウスや系統の異なるマウスを用いて、血液凝固線溶系の概日リズムについても解析し、血栓発症における関連因子の発現変動と相互の関連性を検討した。研究成果は以下にまとめられる。 1)高濃度の血清やデキサメタゾンでヒト臍帯静脈血管内皮細胞と微小血管内皮細胞を短時間だけ刺激すると、経時的にTMとPer2の遺伝子発現に変動が生じるが、その振幅は大きくなく、また、TM抗原量の変動も小さかった。 2)血清刺激後の血管内皮細胞から経時的に核画分を調製し、TMのEボックスを中心にしたプロモーター領域の塩基配列との相互作用をゲルシフト法で解析した結果、Eボックス配列依存的に結合するタンパク質の量には明らかな増減が認められた。 3)COS-1細胞にヒトの時計遺伝子や核内タンパク質の発現プラスミドをリボソーム法で導入してそれらの相互作用を解析した結果、CLOCKとBMAL2(CLIF)の2量体がEボックスを介したTMの転写制御に重要であり、CRYはその転写促進作用に対して抑制的に作用することが判明した。 4)Clock変異マウスを用いた解析結果から、CLOCKはTMの発現制御にとって中心的存在であるだけでなく、線溶系関連因子の概日リズムの発生にとっても重要であること、また、マウスの系統間で線溶系の発現リズムには違いがあることがわかった。 以上により、本研究ではヒトにおいても時計遺伝子の制御を介して血液凝固に関連する様々な因子の発現に影響が及ぶこと、それは食や運動、ストレスなどの環境因子によって末梢の時計遺伝子の発現に影響が及ぶ結果、血栓症が発症しやすいかどうかという形で現れるものと考えられた。
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