研究課題
基盤研究(C)
ブルーム症候群、ワーナー症候群、ロスムント・トムソン症候群といった遺伝性疾患の原因遺伝子は、それぞれRecQファミリーに属する。これらの疾患は共通して、ガンになりやすΨ傾向を示すとともに、その細胞では、ゲノムの不安定化がみられる。RecQDNAヘリカーゼファミリーのメンバーの多くが〜DNA損害に応答し、また、細胞周期により制御されていることが報告されている。しかし、これらの点について、RecQファミリーのメンバーの1つ、RecQ5についてはあまりよくわかっていない。そこで、RecQ5であるショウジョウバエRECQ5/QEヘリカーゼについて、細胞周期進行およびDNA損傷との関連を解析した。ショウジョウバエ培養細胞をDNAに損傷を与える薬剤MMS(methyl-methanesulfonate)で処理すると、RECQ5/QEタンパク質のレベルは劇的に増加した。次に、ショウジョウバエ個体で、複眼原基特異的にRECQ5/QEを過剰発現させたトランスジェニックショウジョウハエを作製したところ、このショウジョウバエは穏やかなrougheye表現型を示した。この複眼原基特異的RECQ5/QE過剰発現に加えて、DNAに傷害を与えること、あるいは、mei-41変異を導入することは、RECQ5/QE過剰発現に起因するこのrougheye表現型を促進した。さらに、ショウジョウバエ複眼原基の分裂期細胞を解析することにより、RECQ5/QE過剰発現が、DNA損害に応答し、細胞周期の進行をかき乱していることがわかった。以上の結果は、RECQ5/QEがDNA損傷に呼応し、細胞周期制御経路と相互作用することを示唆する。
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