研究課題
本年度の研究実施計画に基づいて、以下の研究成果を得た。1.マスト細胞のフィブロネクチンへの接着反応のメカニズムの解析:マスト細胞のPGE2刺激によるフィブロネクチンへの接着反応は、細胞膜にある2つのPGE2受容体のEP4とEP3を介して惹起されていることがわかった。それぞれの受容体を介する接着反応の細胞内シグナルを解析したところ、EP4受容体を介するシグナルはcAMP-PKA系であるが、EP3受容体のそれはPLC-Ca^<2+>-PKC系であることを証明した。どちらの系でも、フィブロネクチンへの接着反応はミオシン短鎖キナーゼによるミオシンのリン酸化とそれによるインテグリン-フィブロネクチンの会合促進によることがわかった。2.フィブロネクチン接着マスト細胞の乖離反応のメカニズムの解析:PGE2刺激で惹起したフィブロネクチン接着マスト細胞は、Ca^<2+>-カルモジュリン系を介して乖離反応を起こしていることがわかった。さらに、この乖離反応はミオシン短鎖キナーゼ活性に依存しており、リン酸化ミオシンで乖離することを証明した。3.アレルギーモデルマウスにおけるマスト細胞のマトリックスへの接着反応の解析:マウス背部皮下に空気脳を作成し、その脳腔内にマスト細胞を封入し、PGE2刺激により脳腔周辺の結合組織のフィブロネクチンやラミニンに接着するマスト細胞数を定量するというin vivo細胞接着実験系を初めて作成することに成功した。PGE2は、アゴニスとおよびアンタゴニストを用いた実験系により、EP4受容体を介してin vivoでは接着を促進することを明らかにした。
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