研究概要 |
リアノジン・レセプターは細胞質Ca_2^+濃度上昇により細胞内ストアから細胞質にCa_2^+を動員するイオンチャンネルであり、そのアゴニストであるリアノジンと拮抗する物質は殺虫剤として期待できるものである。 放線菌および真菌を中心とする微生物の培養液約2,400種類から昆虫のリアノジン・レセプターに対してリアノジン拮抗活性を示すものをスクリーニングした。その結果、3種類の真菌培養液FKI-3299、FKI-3647およびFKI-3795にリアノジン拮抗活性を認めた。そこでそれぞれの真菌を培養し、培養液中から活性物質を単離したところ、FKI-3299よりトリカルボン酸系物質CJ-13,982、FKI-3647よりフェノール系物質tenellic acid C、FKI-3795よりフェノール系物質altenusinおよびdehydroaltenusinを単離することができた。いずれもすでに真菌培養液中からの単離が報告されている物質であったが、これらがリアノジン拮抗活性を示すことは初めての知見であった。 また以前に発見した真菌の生産するデプシペプチド系新規物質verticilideの誘導体合成の研究も進めた。まずverticilideの全合成を行い、続いて約80種類の誘導体を合成した。その中には天然のverticilideと比べて200倍以上強いリアノジン拮抗活性を示す誘導体も得られた。それに加えて、verticilideに関するある程度の構造活性相関を解明することもできた。
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