研究概要 |
3,5-O-(1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン-1,3-ジイル)-4-チオフラノイドグリカール(1)とチミンとのグリコシル化反応により、2'-ヨード-4'-チオチミジン誘導体のβ-アノマー(2)を選択的に合成した。化合物2は、トリブチルチンヒドリドによる2'位のヨウ素置換基のラジカル還元、5'位水酸基のヨウ素化および脱離反応により4',5'-不飽和-4'-チオチミジン誘導体(3)へ変換した。得られた3を四酢酸鉛で処理する事により、本研究の鍵化合物となる4'-アセトキシ-4'-チオチミジン誘導体4を得る事ができた。4'-アセトキシヌクレオシド4に対して、塩化メチレン中、四塩化スズの存在下、フェニルチオトリメチルシランを反応させたところ、目的とする4'-α-フェニルチオチミジン誘導体(5)を良好な収率で得る事ができた。本手法を用いる事により、4'-α-メトキシ体(6)ならびに4'-α-アジド体(7) も合成する事ができた。一方、炭素求核試剤としてアリルトリメチルシランを用い、4との反応を行ったところ、4'-α-アリル体(8)を得る事ができた。一方、シアノトリメチルシランとの反応では、分子内閉環反応が進行しスピロ誘導体が得られた。この副反応を抑えるために、5'位の水酸基をt-ブチルジメチルシリル基で保護した4'-アセトキシ体(9)を5から合成し、シアノトリメチルシランとの反応を行ったところ、目的とする4'-α-シアノ体(10)を得る事ができた。合成した新規ヌクレオシド誘導体の抗HIVを調べたところ、4' -アジド体7に強力な阻害活性が認められた。
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